特集 上部消化管良性疾患に対する低侵襲治療戦略
胃食道逆流症(GERD)に対する最適な術式
増田 隆洋
1
,
矢野 文章
1
,
坪井 一人
1
,
星野 真人
1
,
坂下 裕紀
1
,
小村 伸朗
1
1東京慈恵会医科大学上部消化管外科
キーワード:
GERD
,
食道裂孔ヘルニア
,
逆流防止手術
Keyword:
GERD
,
食道裂孔ヘルニア
,
逆流防止手術
pp.1351-1363
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003465
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胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease;GERD)は胃食道逆流により引き起こされる食道粘膜傷害と煩わしい症状のいずれかまたは両者を引き起こす疾患と定義される。わが国における有病率は約10%と推定され1),一般診療でよく遭遇するcommon diseaseである。胸やけや呑酸といった定型的食道症状のほかにも喉頭炎,咳嗽,喘息,歯の酸蝕症といった多彩な食道外症状を引き起こすことがあり2),診断に苦慮する場合がある。GERDの病態には,食道胃接合部(esophagogastric junction;EGJ)の逆流防止圧の低下,食道裂孔ヘルニアに伴うHis角の鈍化(逆流防止弁不全),一過性下部食道括約筋(lower esophageal sphincter;LES)弛緩,食道運動機能障害,胃排出遅延,肥満や肺疾患による胸腹圧較差の増大など,さまざまな因子が関与する3-6)。こうした病態の複雑性が他の疾患にみられない大きな特徴であり,現在まで多くの臨床医や研究者を惹きつけている魅力ともなっている。
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