特集 高齢者における消化器診療
高齢者における消化器疾患ガイドラインとその解説
胃食道逆流症(GERD)
春日井 邦夫
1
,
海老 正秀
1
,
舟木 康
1
,
小笠原 尚高
1
,
佐々木 誠人
1
1愛知医科大学内科学講座消化管内科
キーワード:
高齢者
,
GERD
,
ガイドライン
,
PPI
,
P-CAB
Keyword:
高齢者
,
GERD
,
ガイドライン
,
PPI
,
P-CAB
pp.809-813
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_809
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Summary
▪日本高齢消化器病学会では「高齢者GERDガイドライン」を2019年に発刊した.
▪若年者と比較して高齢者胃食道逆流症(GERD)では,びらん性GERDが多く,狭窄・出血をきたしやすく,また,胸やけなどの定型症状を訴える症例は少ない.
▪初期治療における第一選択薬として,高齢者びらん性GERDではプロトンポンプ阻害薬(PPI)またはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)を推奨し,非びらん性GERDではPPIを推奨する.
▪長期治療における維持療法として,高齢者びらん性GERDではPPIを推奨,P-CABを提案し,非びらん性GERDではPPIを推奨する.
▪高齢者におけるヒスタミン(H2)受容体拮抗薬(H2RA)の使用は,若年者に比較しせん妄などの副作用を引き起こす可能性が高いため,適応を慎重に判断し必要最小限にすることを提案する.
▪高齢者におけるPPIによる維持療法の安全性は高いが,長期投与に際しては注意深い観察が必要である.必要に応じた最小限の用量で使用すること,継続使用の必要性について定期的に評価することを提案する.
© Nankodo Co., Ltd., 2021