特集 イラストで見る消化器癌手術アトラス
Ⅱ 食道・胃 8 腹腔鏡下胃全摘術における体腔内吻合
佐川 弘之
1
,
伊藤 直
1
,
齋藤 正樹
1
,
大久保 友貴
1
,
小川 了
1
,
瀧口 修司
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科消化器外科学
キーワード:
腹腔鏡下胃全摘術
,
Roux-en-Y再建
,
Overlap吻合
Keyword:
腹腔鏡下胃全摘術
,
Roux-en-Y再建
,
Overlap吻合
pp.773-779
発行日 2023年5月31日
Published Date 2023/5/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003329
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腹腔鏡下胃全摘術は,胃癌治療ガイドラインでは十分なエビデンスが得られていないために標準治療としては推奨されてはいない1)。しかし,腹腔鏡手術がもたらす拡大視効果は,詳細な解剖把握とそこに基づく精緻なリンパ節郭清につながり,その有用性は疑う余地はないと考える。再建においても食道裂孔近傍の視野確保や食道空腸吻合における手技の視認でその利点は大きい。一方でKoderaら2)は,胃全摘術における縫合不全の割合が腹腔鏡手術は開腹手術に比較して有意に高いとNCD(National Clinical Database)に基づいて報告している。食道空腸吻合縫合不全を防止することが,術後のQOL(quality of life)および進行胃癌では早期に集学的治療への移行が可能となるため,再建の際には,重要となるチェックポイントを設け,1つひとつ確認のもとに操作していくことが安全かつ確実な再建に結びつく。胃全摘術における再建法にはさまざまな方法が挙げられるが,Roux-en-Y再建が標準術式として広く行われており,食道空腸吻合に際してはさまざまな方法,工夫がなされてきた。
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