特集 肝胆膵外科手術における術前・術後ドレナージ
胆嚢摘出術前・術後ドレナージ
渡邊 常太
1
,
大谷 広美
1
,
上野 義智
1
,
花岡 潤
1
,
藤井 正彦
1
,
原田 雅光
1
1愛媛県立中央病院消化器外科
キーワード:
急性胆嚢炎
,
胆嚢ドレナージ
,
Tokyo Guidelines
Keyword:
急性胆嚢炎
,
胆嚢ドレナージ
,
Tokyo Guidelines
pp.267-276
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002655
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急性胆嚢炎は胆嚢に生じた急性の炎症性疾患であり,多くの場合,胆嚢胆汁の排出障害と細菌感染によって発症する。原因の大多数は胆嚢結石に起因するが,ほかに悪性胆道閉塞,胆嚢の血行障害,膠原病,アレルギー反応,胃切除後,長期絶食など,その要因は多彩である。無治療で放置したり治療が奏効しなかった場合には,重症感染症に至り致命的になり得る疾患である。急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドラインとして,2018年に国際版診療ガイドラインである「Tokyo Guidelines 2018」(TG 18)ならびにTG18に準拠した日本語版である「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(第3版)」が発行されている1)。TG18ではエビデンスに基づいた胆嚢炎に関するさまざまな指針が出されており,一般医療機関においては同ガイドラインに即した医療を行っていくことが望ましい。急性胆嚢炎に対し,TG18では緊急・早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準的治療とされている。一方,患者の状態や施設の状況によっては,胆嚢ドレナージを行ったあとに待機的な胆嚢摘出術が行われることもある1)。本稿では胆嚢炎治療における胆嚢ドレナージの位置付けと,胆嚢摘出術後のドレナージ治療について概説する。
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