特集 肝胆膵外科手術における術前・術後ドレナージ
肝移植における腹腔ドレーンの意義と効果
伊藤 孝司
1
,
奥村 晋也
1
,
政野 裕紀
1
,
影山 詔一
1
,
秦 浩一郎
1
,
波多野 悦朗
1
1京都大学医学研究科肝胆膵移植外科
キーワード:
肝移植
,
腹腔ドレーン
,
腹水管理
Keyword:
肝移植
,
腹腔ドレーン
,
腹水管理
pp.259-265
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002654
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近年,手術時における腹腔ドレーン留置の意義や必要性に関して,さまざまな議論がなされている。肝切除においては術中の腹腔ドレーン留置は,術後の合併症予防や入院期間の短縮などの改善に寄与しないと報告されている1)。肝癌診療ガイドライン2021年版のなかでは,腹腔ドレーン留置の有無に関して「肝切除の周術期管理として有用なものは何か?」とのクリニカルクエスチョン内に,「待機的肝切除での腹腔ドレーン留置の有無は,出血・胆汁漏などのリスクを考慮して決定する(強い推奨,エビデンスの強さA)」と記載されており2),症例に応じたドレーン留置の有無や対応が必要となっている。また,当科での胆管腸管吻合を伴わない肝切除例の検討でもルーティンに挿入するドレーン挿入は合併症予防などの目的では必要ないとの結果を得ている3)。
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