特集 腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)の現状と展望
Ⅱ.高難度LECS 1)食道胃接合部腫瘍に対するLECS
川久保 博文
1
,
青山 純一
1
,
松田 諭
1
,
入野 誠之
1
,
中村 理恵子
1
,
北川 雄光
1
1慶應義塾大学医学部一般・消化器外科
キーワード:
食道胃接合部
,
粘膜下腫瘍
,
LECS
Keyword:
食道胃接合部
,
粘膜下腫瘍
,
LECS
pp.1655-1664
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002455
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腹腔鏡下胃局所切除は1990年代前半に大上らによって,従来の内視鏡切除と開腹手術の間に位置する診断と治療を同時に行える低侵襲な方法として報告された1)。胃粘膜下腫瘍(submucosal tumor;SMT)に対しては腫瘍径2~5 cmで,噴門もしくは幽門輪にかからない病変,もしくは腫瘍の増大傾向を認め,悪性腫瘍が疑われる病変が適応とされた。当時は内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)の技術がなく,リンパ節転移の可能性が低い早期胃癌に対しては内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)が積極的に施行されていた。しかし,EMRの手技では病変の確実な一括切除が困難であり,比較的大きな病変では分割切除となることが多く,切除標本の再構築が難しく,組織学的に根治性の判断が困難となった。比企らは,10 mmを超える病変のEMRは不完全切除の率が増加することを報告した2)。十分なsurgical marginを確保可能な手技として大上らはlesion lifting法による腹腔鏡下胃局所切除を開発した3)。病変部を金属棒で吊り上げ,病変部より切除線が十分離れるようにして,胃の長軸に沿ってリニアステープラーにより切離する方法である。しかし,腫瘍の部位や発育形式,大きさによっては過大な切除となり,術後の胃の変形や,胃内容排出遅延が問題であった。
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