特集 食道癌・胃癌手術におけるリンパ節郭清の理論と手技
Ⅱ.食道胃接合部 1)食道胃接合部癌のリンパ節郭清で知っておくべき発生・解剖学
中村 達郎
1
,
倉橋 康典
1
,
石田 善敬
1
,
高桑 徹也
2
,
山田 重人
3
,
篠原 尚
1
1兵庫医科大学上部消化管外科
2京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
3京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻/同 附属先天異常標本解析センター
キーワード:
食道胃接合部癌
,
心臓下包
,
発生学
Keyword:
食道胃接合部癌
,
心臓下包
,
発生学
pp.159-164
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002055
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食道胃接合部癌のリンパ郭清で重要な食道裂孔部は腹側に心臓や肝臓,背側に椎体や大動脈,左右には肺が存在する閉ざされた領域である。そのため長らく直視下の手術では胸腔からも腹腔からも局所解剖の認識が困難であった。しかし,近年の内視鏡手術の普及に伴い,その微細な解剖が再現性をもって詳細に認識されるようになってきた。そのなかでわれわれは食道胃接合部の右側に存在する閉鎖腔に注目し,発生学的知見から心臓下包として報告してきた1)。
本稿では胎生期における網嚢と心臓下包の発生過程を詳記し,食道胃接合部リンパ郭清における心臓下包の同定方法とその意義について概説する。
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