特集 消化器外科手術の論点2020 誌上ディベートと手術手技
食道外科 4 食道切除後の標準的再建ルート
大木 進司
1
,
渡邊 雅之
2
1福島県立医科大学消化管外科学
2がん研有明病院食道外科
pp.431-431
発行日 2020年3月31日
Published Date 2020/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001612
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食道切除後の標準的再建ルートとして,後縦隔再建と胸骨後再建が挙げられる。後縦隔再建は,縫合不全が少なく再建距離が最も短いため,咽喉頭合併切除例でも胃管再建が可能であり,頸部吻合部付近での屈曲が少なく嚥下機能が比較的保たれるため,反回神経麻痺合併例や高齢者に対し有用である。開心術後や重症不整脈症例でも術野展開が容易で術後の胃管の心圧排が少なく,安全に施行できる。進行胃管癌や縦隔再発時の治療が困難な点がデメリットであるが,外科的剝離面が陽性となるような症例は局所再発のリスクが高く,術後放射線治療が必要となるため,胸骨後再建を選択すべきで,胃管癌に関しては後縦隔再建時の内視鏡フォローアップを見直し,早期発見に努めるべきである。まれな合併症として後縦隔再建時の胃管気管瘻の重篤化が報告されているが,当科では経験していない。各再建ルートの特徴を理解し,症例に応じた最適な選択に努めるべきである。
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