特集 消化器外科手術の論点2020 誌上ディベートと手術手技
食道外科 4 食道切除後の標準的再建ルート 後縦隔再建の立場から
大木 進司
1
,
河野 浩二
1
1福島県立医科大学消化管外科学
キーワード:
食道癌根治術
,
再建ルート
,
後縦隔再建
Keyword:
食道癌根治術
,
再建ルート
,
後縦隔再建
pp.432-438
発行日 2020年3月31日
Published Date 2020/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001613
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食道癌根治手術は高侵襲手術であり,手術侵襲の低減を目指し胸腔鏡手術,縦隔鏡手術,ロボット手術が導入されつつある。また,術後合併症も決してまれではなく,合併症によっては再発リスクを上昇させるという報告1-3)や,患者のQOL低下にかかわるものも存在する。このため,合併症をいかに減らすかが治療成績向上における大きなテーマであり,各施設においてさまざまな工夫と努力が積み重ねられている。食道癌手術のベストプラクティスが何かというテーマについてはいまだ結論が出ておらず,再建ルートについても大規模な前向き臨床試験は存在しないため,施設や主治医の経験や習熟度をもとに行われているのが実状である。食道癌手術の歴史を顧みれば,わが国において胸壁前,胸骨後,後縦隔再建のすべてがそろったのは1965年頃4)とされており,なかでも後縦隔再建は最も新しい再建ルートである。現在,胃管再建における再建ルートの選択は後縦隔ルートと胸骨後ルートの2つに,ほぼ二分された状況である。
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