特集 腹部ヘルニア手術のすべて
Ⅳ.腹壁瘢痕ヘルニア手術 4)腹直筋後面・腹膜前留置法
坂田 和規
1
,
蜂須賀 丈博
2
1JA愛知厚生連海南病院外科
2市立四日市病院外科
キーワード:
腹壁瘢痕ヘルニア
,
preperitoneal mesh repair
Keyword:
腹壁瘢痕ヘルニア
,
preperitoneal mesh repair
pp.1145-1149
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000000754
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腹壁瘢痕ヘルニア手術においては,再発率を減らすために人工物(メッシュ)を用いたtension-freeでの修復法が主流となっているが,メッシュを留置する部位として,いまだ一定の見解はないのが現状である。修復術のスタンダードとして腹直筋後鞘・腹膜と腹直筋の間を剝離してメッシュを留置するRives-Stoppa法1)があるが,本術式は似ているようで大きく異なる部分がある。Rives-Stoppa法では剝離層に外側縁が腹直筋鞘で制限があり,腹壁の穿通枝血管や肋間神経の損傷リスクがある2)。一方,本術式では腹膜前腔を剝離層とするため,より広い範囲を安全に剝離することが可能になっている。また,筋鞘を縫合閉鎖していないためtension-freeであり,筋膜レベルで同定したヘルニア門と留置したメッシュを確実に縫合することで,連続性のある肉芽形成につながり,これが腹壁瘢痕ヘルニアの修復において大事な役割を果たしていると考えている。
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