スズメバチ刺症により多臓器不全をきたし死亡した1例

Death with multiple organ failure due to massive hornet stings

94歳，女性。玄関先でスズメバチに約70カ所刺され，当院に救急搬送された。血圧低下があり，アナフィラキシーショックと考え経過観察入院としたが，受傷から18時間後に意識レベルが低下した。血液検査で多臓器不全とそれによる著明な乳酸アシドーシスをきたしていた。救命困難と考えたため積極的治療は行わず，受傷の30時間後に死亡した。ハチ毒による中毒で死亡する場合，ほとんどが受傷12～24時間以降で全身状態が悪化してくる。刺傷数が多いほど中毒症状が出現しやすい傾向にあり，特に，数十カ所以上に及ぶハチ刺症の場合は慎重な経過観察が必要と思われる。