アダリムマブによる逆説的反応と考えられた化膿性汗腺炎の1例

Hidradenitis suppurativa considered to be caused by paradoxical reactions with adalimumab

21歳，女性。潰瘍性大腸炎に対しアダリムマブを導入された2年後より臀部から下肢にかけて再発性の膿瘍が出現した。悪化傾向のため当科を受診した。左臀部に有痛性の皮下膿瘍を1カ所認め，同部位を生検し，病理組織診断と臨床経過より化膿性汗腺炎と診断した。潰瘍性大腸炎は寛解を維持しておりアダリムマブは必要性が高いと考え，中止せず，ドキシサイクリンの内服を開始したところ化膿性汗腺炎は改善した。経過からアダリムマブによる逆説的反応と考えられたが，同様の報告例は海外では散見されるものの本邦では自験例が初めてとなる。生物学的製剤の使用中に発症した化膿性汗腺炎においては，逆説的反応である可能性を念頭に置き対応策を講じる必要性がある。