右拇指腫脹を契機に診断された播種性結核の1例

Disseminated tuberculosis manifesting as swelling of the right thumb

17歳，男性。ネパール出身。初診3カ月前に結節と潰瘍を伴う右拇指の腫脹が出現した。CTで右拇指基節骨の骨破壊像と周囲軟部組織の腫脹があり，FDG-PETで右肺下葉，両腋窩リンパ節，腹膜に集積があったことから，右拇指原発肉腫の多発転移疑いで当院を紹介受診した。右拇指腫脹部分の皮膚生検，右拇指基節骨の針生検で，Langhans巨細胞を含む類上皮細胞肉芽腫がみられ，Ziehl-Neelsen染色で染まる菌体を確認した。組織培養で結核菌が同定されたことから，播種性結核に伴う右拇指骨髄炎，皮膚結核と診断した。抗結核薬を9カ月間投与し，右拇指の腫脹は改善した。外国出生者の本邦での結核感染者が増加しており，皮膚結核を鑑別にあげることが重要である。