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Case
圧迫骨折・認知症・誤嚥性肺炎と診断された粟粒結核の一例
患者:86歳,女性.ADLほぼ自立.
既往歴:高血圧,脂質異常症.
アレルギー:アレルギー性疾患なし.
食物・薬剤ともになし.
服薬歴:カルボシステイン,アンブロキソール,クラリスロマイシン,アムロジピン,バルサルタン,アトルバスタチン.
社会歴:喫煙歴・飲酒歴ともになし.職業は農婦.
現病歴・治療経過:X-5月,農作業中に腰痛を自覚するようになる.X-4月,近医の整形外科を受診,単純X線にてTh10とL4の「圧迫骨折」と診断され,対症療法および骨粗鬆症の薬物治療を開始した.
X-3月,活動性の低下を認め,日常的に行っていた農作業ができなくなった.家族は,圧迫骨折によるものと考えていた.しかしX-2月,次第にコミュニケーション不良を認めるようになり,食事量も低下.日中の臥床傾向,失禁も認めるようになった.かかりつけの内科にて,臨床的に「認知症」と診断,ドネペジル内服開始となる.
X-3週,嚥下障害,発熱および喀痰量増加を認め,近医の小規模総合病院内科に「誤嚥性肺炎」として入院,レボフロキサシンの投与を開始した.X-2週,改善を認めないため,メロペネムに抗菌薬を変更.喀痰抗酸菌塗抹は陰性.X-1日,状態改善を認めず,胸部CTを撮像する.両側の粒状影を認めたため,粟粒結核が疑われた.
X日,陰圧個室のある総合病院呼吸器内科に転院.髄液穿刺にてADA(アデノシンデアミナーゼ)40U/lを認め,頭部CTにて散在性の頭蓋内腫瘤性病変を指摘.骨髄穿刺にて抗酸菌塗抹陽性.この時点で「粟粒結核」として抗結核薬治療を開始した.X+1日,喀痰より抗酸菌塗抹陽性,ガフキー3号.X+7日,骨髄液結核菌PCR陽性となり,「粟粒結核」と確定診断.結核治療専門病院へ転院となった.
診断:粟粒結核(肺結核,結核性髄膜炎,結核性脊椎炎)
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