Crohn病に対するアダリムマブ投与により生じたParadoxical Reactionの1例

Paradoxical reaction induced by adalimumab administered for Crohn’s disease

26歳，男性。6年前にCrohn病を発症し，当院内科でアダリムマブを導入された。3年前から右大腿部に瘙痒や疼痛を伴う皮疹が出現した。抗菌薬の内服，外用で改善なく当科を受診した。右大腿部前面に手掌2枚分の紅斑局面，紅色小丘疹，小膿胞が散在し，病理組織学的に表皮の肥厚と好中球が集簇した膿疱を認めた。TNF-α阻害薬による逆説的反応（PR）と診断し，皮疹はステロイド外用で改善した。本邦におけるTNF-α阻害薬によるPRの報告では，32例中18例で膿疱性皮疹を呈している。TNF-α阻害薬投与後に発症した全身や局所の膿疱性皮疹はPRである可能性を念頭に置くべきである。