Basedow病診断の契機になった脛骨前粘液水腫の1例

Pretibial myxedema that led to the diagnosis of Basedow’s disease

50歳，女性。初診8カ月前から両下腿の浮腫を自覚し当科を受診した。両下腿の脛骨前面末梢側に紅褐色局面がみられ，手指振戦と甲状腺腫を伴っていた。病理所見では真皮網状層の膠原線維束間が開大し，アルシアンブルー染色で陽性の酸性ムコ多糖の沈着もみられ，脛骨前粘液水腫と診断した。血液検査でTSH低値，fT3，fT4，抗TPO抗体，抗TSH受容体抗体はいずれも高値でBasedow病と診断した。チアマゾール内服と皮疹にフルドロキシコルチドテープを貼付し皮疹は改善した。本症はBasedow病と診断されている患者に併存症として発見されることが多いが，自験例では本症の診断を契機にBasedow病の診断に至ることができた。