後頭部に生じた脂漏性角化症の病変内に生じた基底細胞癌の1例：抗GLI1抗体による免疫組織化学的検討

Basal cell carcinoma occurring within a seborrheic keratosis lesion on the back of the head：Immunohistochemical study using anti-GLI antibody

78歳，女性。初診の約1年前から後頭部に結節を自覚し，徐々に増大した。初診時，右後頭部に3mm大の有茎性の褐色小結節がみられ，一部は黒色調であった。ダーモスコピー所見はblue-gray ovoid nestsを認めたため，臨床診断は基底細胞癌，鑑別として脂漏性角化症を疑い切除した。病理組織像では，表皮は乳頭状に肥厚し有棘細胞様細胞の増殖，偽角質囊腫と，その腫瘍に連続し，下方にN/C比の高い基底細胞様細胞の胞巣が形成され，辺縁には柵状配列と裂隙形成がみられた。脂漏性角化症の病変内に生じた基底細胞癌と診断した。抗GLI1抗体による免疫組織化学的所見では，脂漏性角化症の一部の基底層と基底細胞癌のみ染色され両者の発生における関係が示唆された。