右仙骨部帯状疱疹加療中に発症した水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜炎の1例

Varicella-zoster virus meningitis occurring during the treatment for herpes zoster in the right sacral region

46歳，男性。ホジキンリンパ腫に対して自家骨髄幹細胞移植の既往があった。5日前より右臀部の皮疹と疼痛が出現し当科を受診した。受診時右仙骨部に紅暈を伴う水疱が集簇し，帯状疱疹と診断した。アシクロビル750mg/日で治療開始後，皮疹は軽快したが，開始4日目に38°C台の発熱，頭痛，嘔気が出現した。髄膜炎を疑いアシクロビル増量と免疫グロブリン大量静注療法を併用し，症状は改善した。経過中，髄液PCR法で水痘・帯状疱疹ウイルスDNA陽性が判明し，水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜炎と確定診断した。仙骨部帯状疱疹患者の水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜炎の合併はまれだが，治療中であっても発熱，頭痛，嘔気が出現したときには髄膜炎を念頭に置く必要がある。