Japanese
English
症例報告
水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜炎および右上肢運動神経麻痺を合併した帯状疱疹の1例
A case of herpes zoster associated with varicella-zoster virus meningitis and motor nerve palsy of the right upper limb
森 明日香
1
,
楠本 百加
1
,
西村 友紀
1
,
正畠 千夏
1
,
北野 公一
2
,
内原 悠斗
3
,
新熊 悟
1
,
浅田 秀夫
1
Asuka MORI
1
,
Yuka KUSUMOTO
1
,
Yuki NISHIMURA
1
,
Chinatsu SHOBATAKE
1
,
Koichi KITANO
2
,
Yuto UCHIHARA
3
,
Satoru SHINKUMA
1
,
Hideo ASADA
1
1奈良県立医科大学皮膚科学教室
2奈良県医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学
3奈良県立医科大学脳神経内科
1Department of Dermatology, Nara Medical University School of Medicine, Kashihara, Japan
2Department of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, Nara Medical University School of Medicine, Kashihara, Japan
3Department of Neurology, Nara Medical University School of Medicine, Kashihara, Japan
キーワード:
帯状疱疹
,
運動神経麻痺
,
髄膜炎
,
放射線療法
Keyword:
帯状疱疹
,
運動神経麻痺
,
髄膜炎
,
放射線療法
pp.353-357
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206316
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 81歳,男性.下咽頭癌に対して,左頸部郭清術,術後化学放射線治療が施行された.化学放射線治療終了の約1か月後,右上背部に水疱が出現し,徐々に右上肢に拡大,しびれも伴うようになったため,当科を紹介された.左上腕,体幹および両足関節に汎発疹を伴った右C5,C6領域の帯状疱疹と診断し入院の上,抗ウイルス薬の全身投与を開始した.入院後3日目に38度台の発熱と意識レベルの低下,項部硬直が出現した.髄液から水痘・帯状疱疹ウイルスDNAが検出され,水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜炎の合併と考え,抗ウイルス薬を増量した.髄膜炎症状や皮疹は改善傾向であったが,右上肢の運動神経麻痺が出現した.退院後も運動神経麻痺と疼痛は残存し,疼痛コントロールやリハビリテーションを継続している.高齢,担癌患者,化学放射線療法は,いずれも帯状疱疹の重症化リスク因子となるため,合併症の有無を注意深く観察し,早期に治療介入することが重要である.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.