Hereditary Trichilemmal Cystsと考えた1例

Hereditary trichilemmal cysts

52歳，白人女性。30歳時から頭部に皮下結節が出現し，増数増大した。39歳時に1個切除し外毛根鞘囊腫と診断された。51歳時に後頭部の結節を切除したところ一部上皮が内腔に向かって増殖傾向であり増殖性外毛根鞘囊腫への移行を疑った。父，姉にも同様の頭部結節が複数あり，hereditary trichilemmal cystsと考えた。家族内発症の多発性外毛根鞘囊腫の遺伝形式は常染色体優性遺伝であるが，責任遺伝子は明らかでない。そのため，臨床的特徴から診断基準が提唱されている。また，外毛根鞘囊腫は増殖性外毛根鞘囊腫，悪性増殖性外毛根鞘囊腫に移行する場合もあり，注意して経過観察，もしくは切除することが望ましいと考える。