膵癌を早期に診断，切除し得た抗TIF1-γ抗体陽性Amyopathic Dermatomyositisの1例

Anti-TIF-1γ antibody-positive amyopathic dermatomyositis associated with pancreatic cancer diagnosed and resected in the early stage

76歳，女性。難治性の顔面紅斑を主訴に当科を受診した。両頰部の紫紅色紅斑，手指関節背側に中央萎縮性の角化性小丘疹，背部に浮腫性紅斑を認めた。精査にて抗TIF1-γ抗体陽性のamyopathic dermatomyositisと診断した。また全身検索にて膵管内乳頭粘液性腫瘍を指摘されたが，悪性所見を認めず，皮疹に対してシクロスポリン内服加療を行った。約2年後，皮疹再燃を契機に再精査を行い，既存の膵頭部腫瘍性病変の増大を認め膵頭部腺癌と診断した。膵癌の根治術施行後，顔面の紅斑も軽快した。抗TIF1-γ抗体陽性の皮膚筋炎は，高率に進行癌を合併する例が多く，自験例のように早期に診断し切除し得た例はまれである。