Japanese
English
症例報告
脱毛が特徴的であった抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎の1例
A case of anti-TIF1-γ antibody-positive dermatomyositis with characteristic hair loss
波田野 冴佳
1
,
福山 雅大
1
,
大山 学
1
Sayaka HATANO
1
,
Masahiro FUKUYAMA
1
,
Manabu OHYAMA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Kyorin University Faculty of Medicine, Mitaka, Japan
キーワード:
皮膚筋炎
,
抗TIF1-γ抗体
,
脱毛
,
毛球部結合織毛根鞘
,
血流障害
Keyword:
皮膚筋炎
,
抗TIF1-γ抗体
,
脱毛
,
毛球部結合織毛根鞘
,
血流障害
pp.649-654
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206442
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要約 68歳,男性.初診5か月前に顔面や上肢,頭部に瘙痒を伴う皮疹が出現し,近医でステロイド外用するも軽快せず,当科を受診した.左右対称性に顔面に紅斑を認め,ショールサイン,mechanic's hands,Gottron丘疹を認めた.血液検査にて抗TIF1-γ抗体陽性であり皮膚筋炎と診断した.悪性腫瘍の合併はなかった.頭頂部主体に脱毛斑があり,抜毛テストにて易脱毛性がみられた.抜去された毛の末端は球状であったが一部の毛では毛球上部に萎縮性の変化がみられた.頭部の皮膚生検では,休止期毛の増加と漏斗部表皮基底層の空胞変性を伴う炎症性細胞浸潤に加え,毛乳頭部の結合織毛根鞘内に多数のうっ血像がみられた.ステロイド内服にて皮疹および脱毛症状は改善した.皮膚筋炎における脱毛は休止期脱毛が主体とされているが,毛周期に変調をきたす機序は不明である.自験例の所見から皮膚筋炎に特徴的な血管拡張とそれに伴う血流うっ滞が病態に寄与する可能性が示唆された.
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