特集 病態から考える薬物療法
第XVII章 良性腫瘍・母斑症
1 乳児血管腫
岸 晶子
1
Akiko KISHI
1
1虎の門病院,皮膚科
キーワード:
乳児血管腫
,
苺状血管腫
,
プロプラノロール塩酸塩
,
色素レーザー
,
早期治療
Keyword:
乳児血管腫
,
苺状血管腫
,
プロプラノロール塩酸塩
,
色素レーザー
,
早期治療
pp.947-950
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003297
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乳児血管腫(infantile hemangioma)は,血管内皮細胞の腫瘍性増殖を本態とする良性の脈管性腫瘍である。従来は苺状血管腫とよばれていた。新生児期に発症して,あるところまで増殖し,その後自然に退縮する特徴的な経過をたどる。かつては自然退縮することから「wait and see」でよいとされていたが,隆起の強い病変や潰瘍を伴う例は退縮後にたるみや瘢痕などの後遺症が残るため,積極的な早期治療が必要である。乳児血管腫の治療は2016年にプロプラノロール塩酸塩内服薬が本邦でも保険適用となり大きく前進した。乳児血管腫の症状は多彩で,時期によっても異なるため,各々の病状に則した将来の見通しと治療法を説明し,患児に最適と考えられる方針を決めることが大切である。後遺症をできるだけ残さないためには,早期治療が重要である。
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