特集 病態から考える薬物療法
第Ⅵ章 水疱症
2 類天疱瘡
廣保 翔
1
,
鶴田 大輔
1
Sho HIROYASU
1
,
Daisuke TSURUTA
1
1大阪公立大学大学院医学研究科,皮膚病態学
キーワード:
水疱性類天疱瘡
,
コラーゲンXVII
,
BP230
Keyword:
水疱性類天疱瘡
,
コラーゲンXVII
,
BP230
pp.739-744
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003258
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類天疱瘡は,水疱性類天疱瘡,後天性表皮水疱症,粘膜類天疱瘡,p200類天疱瘡,lichen planus pemphigoides,pemphigoid nodularisなどが含まれる,自己免疫性表皮下水疱症の総称である。そのなかでもっとも頻度が多い水疱性類天疱瘡は,体幹四肢や粘膜の緊満性水疱やびらんと,強い瘙痒を伴う全身の浮腫性紅斑を特徴とし,高齢者に好発する1)。特徴的な臨床症状と病理組織学的所見に加え,血清と局所中にIgG型自己抗体を検出することで,水疱性類天疱瘡と診断する。この自己抗体は,表皮の基底ケラチノサイトに発現するコラーゲンXVII(以下COL17またはBP180)およびBP230を標的とする(図1)1)。これらの分子は,基底ケラチノサイト内の細胞骨格と細胞外の基底膜とを接着するヘミデスモソームの構成分子である。ヘミデスモソーム構成分子の蛋白量は,水疱性類天疱瘡患者血清中のIgG型自己抗体により減少し,真皮表皮間接着が脆弱になり表皮下水疱が形成されることが,さまざまな実験系で示されている。このヘミデスモソーム構成分子の蛋白量の減少には,炎症性と非炎症性の2通りの機序がある(図2)2)。
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