関節リウマチに対しアバタセプト投与中に生じた乾癬様皮疹の1例

Abatacept-induced psoriasiform eruption in a patient with rheumatoid arthritis

76歳，女性。乾癬の既往なし。関節リウマチに対して8カ月前にアバタセプトが導入された。2カ月前より体幹，四肢に鱗屑を付する紅斑が多発した。病理組織学的に不全角化を伴う過角化と表皮の肥厚があり，角層内に好中球浸潤がみられた。アバタセプトにより誘発された乾癬様皮疹と診断し，同剤の中止と活性型ビタミンD₃/ステロイド配合剤の外用を行ったが，皮疹は難治であった。関節症状の増悪もみられたため，アバタセプトの中止から11カ月後にアダリムマブを導入したところ，関節症状と皮疹は4カ月で寛解した。アバタセプトは関節リウマチに対して有効な生物学的製剤のひとつであるが，乾癬様皮疹の発現を惹起することがあるため注意すべきである。