臨床講義
皮膚筋炎
松下 貴史
1
Takashi MATSUSHITA
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系,皮膚科学教室,教授
キーワード:
皮膚筋炎
,
自己抗体
,
間質性肺疾患
,
悪性腫瘍
Keyword:
皮膚筋炎
,
自己抗体
,
間質性肺疾患
,
悪性腫瘍
pp.1501-1507
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000002838
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かつて,皮膚筋炎(dermatomyositis,以下DM)は自己抗体がほとんど関与しない膠原病と一般には考えられていた。その理由としては,皮膚筋炎患者の多くが抗核抗体陰性であり,また通常の検査で測定できる筋炎特異抗体は抗Jo-1抗体のみであったためである。また臨床像もヘテロジーニアスで悪性腫瘍や間質性肺疾患の合併例,さらには急速進行性間質性肺疾患を合併して予後不良の症例も存在し,“経過が予測できない複雑な疾患”であった。しかしながら,新規自己抗体の発見や検査法の進歩によりDM患者の75%以上に自己抗体が検出され,さらにそれぞれの自己抗体と臨床症状が密接に相関することが明らかとなった。抗Mi-2抗体は“定型的なDM”,抗アミノアシルtRNA合成酵素(以下ARS)抗体は慢性間質性肺疾患を高率に合併,抗MDA5抗体は急速進行性間質性肺炎を合併し予後不良,抗TIF1-γ抗体は成人では約50〜75%に悪性腫瘍を合併,といったように抗体によるサブセット分類が可能となり,経過の予測や治療方針の決定が容易となった。さらに2016年からは自己抗体が保険診療で測定可能となり,DMの診断が劇的に発展した。本稿では,DMの検査・診断ならびに筋炎特異自己抗体別の臨床的特徴について概説する。
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