Japanese
English
症例
エホバの証人信者に発症した後天性表皮水疱症の1例
-―難治な経過をたどり,さまざまな合併症を併発した1例―
Intractable Epidermolysis Bullosa Acquisita in a Jehovah’s Witnesses Patient with Many Complications―A Patient with Various Complications Following a Refractory Course
高澤 摩耶
1
,
梅本 尚可
1
,
山田 朋子
1
,
川瀬 正昭
1
,
石井 文人
2
,
橋本 隆
3
,
出光 俊郎
1
Maya TAKAZAWA
1
,
Naoka UMEMOTO
1
,
Tomoko YAMADA
1
,
Masaaki KAWASE
1
,
Norito ISHII
2
,
Takashi HASHIMOTO
3
,
Toshio DEMITSU
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター,皮膚科(主任:出光俊郎教授)
2久留米大学医学部,皮膚科
3大阪市立大学大学院医学研究科,皮膚病態学
キーワード:
後天性表皮水疱症
,
エホバの証人
,
Ⅶ型コラーゲン
,
敗血症
,
シクロスポリン
Keyword:
後天性表皮水疱症
,
エホバの証人
,
Ⅶ型コラーゲン
,
敗血症
,
シクロスポリン
pp.1575-1580
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000002212
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65歳,女性。全身に水疱と紅斑がみられた。病理組織学的検査で表皮下水疱を認め,1M食塩水剝離皮膚蛍光抗体間接法でIgGが真皮側に陽性,正常ヒト真皮抽出液免疫ブロット法で290kDaのⅦ型コラーゲンと反応したため後天性表皮水疱症と診断した。エホバの証人信者で,血液製剤の使用を当初は拒否していた。ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量静注療法を施行するも難治のため二重膜濾過血漿交換法を施行したが,菌血症を発症し,左内頸静脈血栓症,頸髄硬膜外血腫などの合併症をおこした。皮疹が難治でステロイドを早期に減量できなかったことがさまざまな合併症を招いた一因と考えた。患者背景を考慮したうえで使える治療法を確認し,時機を逸せずに治療する重要性を認識した。
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