ダウン症患者に生じた重症成人水痘の1例

Severe Varicella in a Patient with Down Syndrome

50歳，男性。ダウン症で施設に入所中。3日前に40°Cの発熱と皮疹が出現し，皮疹が急速に全身に拡大したため入院となった。成人水痘と診断しアシクロビルで加療したが水痘肺炎，肝機能障害と心不全が合併し，呼吸不全となった。免疫グロブリン製剤，ステロイドを追加投与し全身状態は改善したが，水痘の皮疹は遷延して痂皮化するまで治療開始から2週間を要した。患者の細胞性免疫は高度に抑制されていた。ダウン症患者では免疫異常を伴うことがあり，成人になって水痘に罹患すると重症化することがあるため，水痘ウイルス抗体が陰性の症例には予防接種が望ましいと思われた。