高齢者に発症した水痘の1例 -―最近15年間の症例のまとめ―

Varicella in an Elderly Woman：Review of the Case Reports for the Recent 15 Years

83歳，女性。顔面，口腔内を含む全身に，一部には水疱を有する紅斑が発症した。2剤の内服直後のため薬疹も疑ったが，Tzanck試験でウイルス性巨細胞陽性，VZV IgG高値から再罹患の水痘と診断した。過去15年間の高齢者の水痘の報告に自験例を加えた56例で検討を行った。年齢は70歳代が多く，基礎疾患は血液系を含む悪性腫瘍が18例で32％を占めた。また24例（43％）がステロイド，化学療法，免疫抑制剤などの投与を受けていた。42例（75％）は全身状態がほぼ良好であったが，死亡が3例を数えた。高齢者においては外来性水痘・帯状疱疹ウイルスの再感染や，内在性の水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化による水痘の再罹患に注意が必要である。