前腕の無色素性基底細胞癌の1例

Non-pigmented Basal Cell Carcinoma on the Forearm

78歳，女性。5年前の食道癌手術後から前腕にびらん，紫斑を生じやすくなった。9カ月前に前腕に紅色結節が出現し増大した。8×13mm大の紅色結節で一部にびらん，黒点を有し，ダーモスコピー所見でarborizing vessels，multiple blue-gray globules，黒点を示し，病理組織学的所見で真皮内に辺縁が核の柵状配列をとる毛芽細胞様細胞の増殖を認め基底細胞癌と診断した。無色素性基底細胞癌の発症頻度は約5％，基底細胞癌の上肢発症は1〜2％，無色素性基底細胞癌の上肢発症が約8％である。四肢発症の無色素性基底細胞癌の本邦報告5例中3例に熱傷，原爆照射，外傷などがあった。自験例でも2回目受診時に多数のびらん，紫斑を認め，頻回の外傷が誘因の可能性がある。