生体肝移植後の免疫抑制治療中に発症した左大腿部のMerkel細胞癌

Merkel Cell Polyomavirus-associated Merkel Cell Carcinoma After Living-donor Liver Transplantation

73歳，男性。2008年に肝硬変に続発した肝細胞癌に対し生体肝移植後，免疫抑制治療中であった。2017年，左大腿部に皮膚腫瘤を自覚し当科を受診した。生検の結果，Merkel細胞癌（MCC）と診断した。¹⁸F-fluorodeoxyglucose positron emission tomographyで左大腿部以外に異常集積を認めず，3月に原発巣を拡大切除した。5月に左鼠径リンパ節腫脹を認め，摘出生検でMCCのリンパ節転移と診断した。原発巣から左鼠径部の範囲に放射線療法を施行後，再発なく経過している。MCCは新治療薬も承認され，予後改善が期待される。病態の理解を深めるため文献的考察を加えて報告した。