Trichophyton rubrumとCandida albicansが同時に検出された白癬性毛瘡の高齢男性例

An elderly man with sycosis trichophytica in which Trichophyton rubrum and Candida albicans were detected simultaneously

92歳，男性。3カ月前より項部に体部白癬が出現後，人中部に丘疹と膿疱が出現した。コルチコステロイド外用後，皮疹が拡大したため，受診した。上口唇から人中部に紅斑を伴う丘疹と膿疱が集蔟し，病理組織像では毛包漏斗部内に好中球が集蔟し，毛包の周囲には好中球，好酸球，組織球の密な炎症細胞浸潤がみられた。Periodic acid Schiff染色，Grocott染色で真菌要素は確認できなかった。鱗屑片の苛性カリ標本で菌要素陽性，生検組織片培養で湿性白色と綿花様白色調菌集落を認め，Trichophyton rubrumとCandida albicansが同定されたことより，両菌による白癬性毛瘡と診断した。白癬性毛瘡は比較的まれな疾患で，真菌性疾患数千例に1～2例の頻度とされ，両菌による重複感染はさらに少ない。