私の経験
外転神経麻痺を初発症状としたクローン病患者にみられた無菌性髄膜炎の1例
野口 久美子
1
,
牧野 伸二
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
無菌性髄膜炎
,
うっ血乳頭
,
外転神経麻痺
,
頭蓋内圧亢進
,
クローン病
Keyword:
無菌性髄膜炎
,
うっ血乳頭
,
外転神経麻痺
,
頭蓋内圧亢進
,
クローン病
pp.1307-1312
発行日 2025年11月5日
Published Date 2025/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004451
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外転神経麻痺を初発症状としたクローン(Crohn)病患者にみられた無菌性髄膜炎の1例を報告する。55歳男性が複視を主訴に受診した。小腸クローン病の既往がありアダリムマブ投与歴があった。視力は両眼とも(1.2)であった。眼位は内斜視で,右眼の外転制限がみられた。眼底は両眼とも著明な視神経乳頭腫脹があり,頭蓋内圧亢進によるうっ血乳頭を疑った。腰椎穿刺で脳脊髄液圧は初圧300mmH2O以上の頭蓋内圧亢進および細胞数増多,蛋白上昇を認め,無菌性髄膜炎と診断した。FilmArrayⓇ髄膜炎・脳炎パネルで病原体は検出されなかった。髄液検査後,うっ血乳頭および外転神経麻痺も改善し,アセタゾラミド内服により以降の再燃も認めなかった。無菌性髄膜炎に伴う頭蓋内圧亢進が外転神経麻痺の原因であった可能性が高いと考えられた。原疾患や使用薬剤の影響を念頭に置きつつ,慎重な診断と経過観察が重要であると考えられた。

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