特集 斜視に対するA型ボツリヌス毒素(BTX-A)注射療法
5 外転神経麻痺に対するBTX-A療法
岡本 真奈
1
1兵庫医科大学眼科学教室
キーワード:
外転神経麻痺
,
A型ボツリヌス毒素
,
斜視手術
Keyword:
外転神経麻痺
,
A型ボツリヌス毒素
,
斜視手術
pp.1493-1497
発行日 2019年12月5日
Published Date 2019/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001476
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
外転神経麻痺は,微小循環不全,新生物,動脈瘤,炎症,感染などが原因となって生じる。他の眼運動神経麻痺と同様,発症後平均3か月,最長9か月程度で約80%が自然軽快する。そのため従来,治療は6か月を経過して,複視を訴える症例に基底外方プリズム眼鏡の装用や斜視手術を行うのが基本であった1)。しかし,微小循環不全では自然回復率は高いとされるが,外転神経麻痺で多い腫瘍や外傷が原因の場合は,自然回復率は低く,6か月は積極的な治療ができないため,患者はこの期間,複視や整容面での問題に悩まされていた。また,腫瘍などが原因で全身状態が悪く手術に耐え得るだけの体力がない患者は経過観察しか選択肢がなかった。しかし,2015年6月に12歳以上の斜視に対してA型ボツリヌス毒素(botulinum toxin type A:BTX-A)注射が認可され,この経過観察期間の過ごし方や残存複視に対する治療法に新たな選択肢が生まれた。
Copyright © 2019, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.