原著
外転神経麻痺の術式および矯正効果の評価
越智 正登
1
,
林 孝雄
1,2
,
渡邊 恵美子
1
,
太根 ゆさ
1
,
矢倉 和磨
1
,
溝田 淳
1
1帝京大学医学部眼科学講座
2帝京大学医療技術学部視能矯正学科
キーワード:
外転神経麻痺
,
Jensen変法
,
内直筋後転
,
外直筋短縮
,
矯正量
,
原因
Keyword:
外転神経麻痺
,
Jensen変法
,
内直筋後転
,
外直筋短縮
,
矯正量
,
原因
pp.639-644
発行日 2018年6月5日
Published Date 2018/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000692
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目的
外転神経麻痺の原因を検索し,麻痺性内斜視に対して行った手術の治療効果を検討した。
対象と方法
2009年5月から2014年9月までに帝京大学医学部附属病院眼科で手術を行い,経過観察可能であった39例である。治療効果を調べるために術前,術後3か月での斜視角を大型弱視鏡で測定し,術前との角度変化を後ろ向きに検討した。長期経過観察可能であった症例に対しては,最終観察時での角度を検討した。
結果
原因疾患では頭蓋内病変術後が最多であった。全症例39例のうち完全麻痺は18例,不全麻痺は21例であった。術前の斜視角は13~34°(平均27.9±8.7°)で,術後3か月での斜視角は1~22°(平均9.1±5.4°)であった。術式は外直筋短縮単独13例,外直筋短縮と内直筋後転10例,内直筋後転単独1例,Jensen変法と内直筋後転15例で,Jensen変法単独はなかった。術前後の矯正量はそれぞれ12.8±4.1°,18.8±7.1°,15°,24.4±7.1°で,直筋1mmあたりの矯正量はそれぞれ1.4±0.6°,1.6±0.8°,3°,3.8±1.3°であった。
結論
外転神経麻痺に対する手術療法はおおむね良好な結果が得られた。Jensen変法に内直筋後転を同時に併用する場合,今回の結果である3.8±1.3°は,量定推定の参考に使用できると考えられた。
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