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特発性頭蓋内圧亢進症に伴ったperipapillary hyperreflective ovoid mass-like structures(PHOMS)を経験したので報告する。解離性障害の30歳女性が頭痛と視力低下,両眼の乳頭腫脹の精査目的に受診した。視力は右(0.8),左(1.2)であった。両眼とも乳頭腫脹があり,Goldmann視野検査で右眼のMariotte盲点の拡大があった。頭部MRIでは頭蓋内に占拠性病変はなく,両眼とも視神経周囲髄液腔の拡大と眼球後部の平坦化がみられた。BMIが35.24と肥満があり,特発性頭蓋内圧亢進症によるうっ血乳頭を疑った。初診1週後,両眼とも乳頭腫脹の増悪と出血がみられ,視力は右(0.05),左(0.7)と低下した。Goldmann視野検査では右眼は中心暗点,左眼は中心部に比較暗点がみられた。光干渉断層計(OCT)で,両眼とも著明な乳頭腫脹があり,右眼では乳頭耳側を除きほぼ全周性に,左眼ではほぼ全周性に弧状の輪郭を呈する部分が観察され,PHOMSを伴っているものと考えた。脳脊髄液圧測定で300mmH2Oと高値が確認された。特発性頭蓋内圧亢進症の診断で,アセタゾラミドの内服が開始された。その後,両眼のうっ血乳頭は徐々に改善し,右眼の中心暗点,左眼の中心部の比較暗点も改善した。頭部MRIでの視神経周囲髄液腔の拡大と眼球後部の平坦化も軽快した。OCTでは,右眼の乳頭鼻側,上方と下方,左眼の全周性の弧状の輪郭を呈する部分は観察されたが,両眼とも乳頭腫脹の改善が観察された。本症例の経験から,特発性頭蓋内圧亢進症によるうっ血乳頭では,OCTでPHOMSが観察され,乳頭腫脹の経過によってPHOMSの形態が変化することが明らかになった。

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