症例報告
自覚症状がある時の脳脊髄液圧測定が有用であった特発性頭蓋内圧亢進症の1例
粕谷 友香
1
,
牧野 伸二
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
特発性頭蓋内圧亢進症
,
脳脊髄液圧
,
外転神経麻痺
Keyword:
特発性頭蓋内圧亢進症
,
脳脊髄液圧
,
外転神経麻痺
pp.379-384
発行日 2022年4月5日
Published Date 2022/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002583
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自覚症状がある時の脳脊髄液圧測定が有用であった特発性頭蓋内圧亢進症の1例を報告する。11歳女児が頭痛と複視を主訴に受診した。視力は両眼とも(1.2)であった。眼位は右眼内斜視で,外転制限がみられた。眼底は両眼とも著明な視神経乳頭腫脹が認められた。Goldmann視野検査では両眼のMariotte盲点の拡大があった。頭部MRIでは頭蓋内に占拠性病変はなく,両眼とも眼球後部の平坦化と視神経周囲髄液腔の拡大を認めた。特発性頭蓋内圧亢進症によるうっ血乳頭を疑い,同日夕方,脳脊髄圧測定を施行したが,80mmH2Oと正常であった。このとき,頭痛はなく,翌朝,頭痛のある時期に再検した脳脊髄圧は450mmH2Oと高値が確認された。アセタゾラミドの内服により,脳脊髄圧は正常化し,うっ血乳頭,複視も改善した。本症例では,頭痛のある時の脳脊髄液圧測定が特発性頭蓋内圧亢進症の確定診断につながった。
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