私の経験
非動脈炎性前部虚血性視神経症にみられたperipapillary hyperreflective ovoid mass-like structuresの1例
土屋 匠麿
1
,
牧野 伸二
1
,
粕谷 友香
1
,
反保 宏信
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
乳頭浮腫
,
peripapillary hyperreflective ovoid mass-like structures(PHOMS)
,
前部虚血性視神経症
,
光干渉断層計
,
光干渉断層血管撮影
Keyword:
乳頭浮腫
,
peripapillary hyperreflective ovoid mass-like structures(PHOMS)
,
前部虚血性視神経症
,
光干渉断層計
,
光干渉断層血管撮影
pp.1453-1459
発行日 2023年12月5日
Published Date 2023/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003442
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非動脈炎性前部虚血性視神経症(NA-AION)にみられたperipapillary hyperreflective ovoid mass-like structures(PHOMS)を経験したので報告する。
症例は72歳男性。左眼の霧視を自覚し,前医で左眼乳頭浮腫を指摘され,精査目的に受診した。視力は右(1.2),左(1.2)であった。左眼の視神経乳頭は蒼白浮腫状で,Goldmann視野検査でMariotte盲点の拡大と鼻下側1/4半盲様の視野異常がみられた。光干渉断層計(OCT)では,左眼の視神経乳頭腫脹が顕著で,腫脹部位の一部に点状の高反射を示す部分,乳頭周囲の一部に弧状の輪郭を呈する部分が観察された。超音波Bモード,眼底自発蛍光検査では視神経乳頭ドルーゼンにみられる高輝度変化はなかった。フルオレセイン蛍光眼底造影検査で,造影早期の脈絡膜背景蛍光の遅延はなかったが,造影後期の視神経乳頭の過蛍光がみられた。光干渉断層血管撮影では,病変内に血流信号(flow signal)が確認された。NA-AIONに伴うPHOMSと診断し,無治療で経過観察した。乳頭浮腫は徐々に軽快し,初診時のOCTでみられた点状の高反射,弧状の輪郭は観察されなくなった。視力,視野とも変化はなかった。NA-AIONでは急性期のOCTでPHOMSがみられることが明らかになった。
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