症例報告
うっ血乳頭を呈したChiari奇形1型の1例
板東 将史
1
,
太田 千秋
1
,
岩崎 素之
2
,
梅津 新矢
3
,
渡部 恵
3
,
大黒 浩
3
1小樽市立病院眼科(北海道)
2北海道大学 大学院医学研究院 脳神経外科
3札幌医科大学医学部眼科学講座
キーワード:
うっ血乳頭
,
特発性頭蓋内圧亢進症
,
IIH
,
Chiari奇形1型
,
CIM
Keyword:
うっ血乳頭
,
特発性頭蓋内圧亢進症
,
IIH
,
Chiari奇形1型
,
CIM
pp.91-98
発行日 2023年1月5日
Published Date 2023/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002993
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Chiari奇形1型(CIM)では,咳嗽やくしゃみなどで増強する後頭部痛や頸部痛,眼振,眩暈,歩行障害などの症状で疑われ,頭部MRI検査の矢状断で小脳扁桃の大後頭孔以下への下垂を認めることで診断を確定する。上記症状を生じず,うっ血乳頭のみを呈することはまれである。今回我々は両側のうっ血乳頭以外の臨床所見が乏しいCIMを経験したので報告する。症例は12歳女児,眼鏡作成のため近医眼科を受診したところ両側の乳頭腫脹を認め,精査目的に当科を紹介受診となった。両眼窩部痛の増悪を認め,動的視野検査で両眼にMariotte盲点の拡大を認めたが,頭部CTにおいて脳室拡大や占拠性病変,頭蓋骨の形成異常は認めず,MRIでも異常はみられなかった。当院脳神経外科で特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)と診断されアセタゾラミド内服を開始し,経過観察を行っていた。しかしその後も症状の改善を認めず,MRI再検査を実施したところ,矢状断において4.5mm程度の小脳扁桃下垂を認め,CIMと診断された。初診から9か月後,当院脳神経外科で大後頭孔減圧術を施行し,術後は乳頭腫脹および自覚症状の改善を認めた。うっ血乳頭で診断に苦慮する場合は,CIMも念頭に置いて頭部MRI矢状断の撮像をすべきであると考えられた。
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