私の経験
強度近視を伴わない眼球・眼窩容積の不一致による固定内斜視に対し,両眼の上外直筋結合術が有効であった1例
竹谷 圭祐
1
,
錦織 奈美
1
,
髙岡 秀輔
1
,
東出 めぐみ
1
,
渡部 恵
1
,
大黒 浩
1
1札幌医科大学眼科学講座
キーワード:
固定内斜視
,
眼球眼窩容積比
,
上外直筋結合術
,
fixed esotropia
,
orbital volume ratio(OVR)
,
SR-LR union suture
Keyword:
固定内斜視
,
眼球眼窩容積比
,
上外直筋結合術
,
fixed esotropia
,
orbital volume ratio(OVR)
,
SR-LR union suture
pp.837-841
発行日 2025年9月5日
Published Date 2025/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004282
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今回我々は,強度近視を伴わない眼球・眼窩容積不一致による固定内斜視に対して,両眼の上外直筋結合術が有効であった症例を経験したので報告する。症例は72歳男性。幼少期から内斜視があり,徐々に悪化していた。視力は右(1.0×S+0.50D C−1.75D Ax90°),左(1.0×S+0.25D C−2.25D Ax40°),眼位は近方75 prism diopter(PD),遠方75 PDの内斜視であった。眼球運動は右眼に15°の外転制限がみられた。眼軸長は正常値であったが,眼窩長は正常値より短く,眼球眼窩容積比は両眼とも通常よりも小さかった。強度近視を伴わない眼球・眼窩容積不一致による固定内斜視と診断し,両眼の上外直筋結合術と右眼の内直筋後転7mmを施行した。術後眼位は近方,遠方ともに正位であり,右眼外転30°と眼球運動の改善がみられた。本症例は強度近視がみられず,眼軸長は正常であったが,眼球容積と眼窩容積の不一致により固定内斜視を発症したと思われる。強度近視を伴わない眼球・眼窩容積不一致による固定内斜視に対して,両眼の上外直筋結合術が有効であったことから,術式決定にあたり,術前の眼球眼窩容積比の確認が重要であると思われた。

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