症例報告
眼窩蜂窩織炎を合併した涙腺膿瘍と考えられた1例
髙田 遼
1
,
古島 京佳
2
,
竹下 哲二
2
1熊本大学病院眼科
2上天草市立上天草総合病院眼科(熊本県)
キーワード:
涙腺膿瘍
,
蜂窩織炎
,
麦粒腫
,
lacrimal gland abscess
,
orbital cellulitis
,
hordeolum
Keyword:
涙腺膿瘍
,
蜂窩織炎
,
麦粒腫
,
lacrimal gland abscess
,
orbital cellulitis
,
hordeolum
pp.1637-1640
発行日 2024年12月5日
Published Date 2024/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003983
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
生来健康な成人女性に発症した,眼窩蜂窩織炎を伴う涙腺膿瘍と考えられた1例を経験したので報告する。患者は39歳女性。左上眼瞼の痛みと発赤,腫脹で初診し,左耳側結膜に充血と浮腫がみられた。触診で腫瘤は触れず,上眼瞼を翻転しても膿点はみられなかった。麦粒腫疑いでレボフロキサシン点眼,セファレキシン内服3日分,眼瞼腫脹に対して0.1%フルオロメトロン点眼を処方し経過観察となった。初診より4日目に受診するも症状は改善しておらず,左眼の結膜浮腫は悪化していた。疼痛部位が涙腺の位置であったため涙腺炎を疑いMRI撮影を行ったところ,左涙腺下部に長径8mmの嚢胞性病変を認め,涙腺膿瘍と考えた。また,周囲の眼瞼や皮下組織の浮腫を伴う眼窩蜂窩織炎を発症していた。患者の希望で点滴療法ではなく,内服継続で外来経過観察となった。内服をファロぺネムに変更し5日間投与した。その結果,左結膜に充血と浮腫がやや残るものの眼瞼の発赤,腫脹と疼痛が消失していたため治療終了とした。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.