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目的
緑内障点眼アドヒアランスに関する全国アンケート調査(GRACE:Glaucoma Research on Adherence to Fixed Combination Eye Drops in Japan)に参加した,新規に配合剤を導入した緑内障患者を対象に,配合剤導入による点眼忘れの変化と点眼忘れに関連する因子を検討する。
対象と方法
GRACEは新規に配合点眼剤の処方が予定された患者を対象とした点眼忘れに関する前向き調査である。配合点眼剤を導入直前と導入後6か月の時点で患者と担当医に,導入4~6週後に患者のみに対して点眼忘れに関するアンケート調査を施行した。配合剤初回処方時と処方後初回再診時に2種類(A:点眼方法の説明が記載,B:点眼方法の説明と眼圧下降の意義が記載)のリーフレットをランダムに患者に配布した。配合剤導入による点眼忘れの変化と2種類のリーフレットの点眼忘れに対する影響,その他の点眼忘れに関連する因子について検討した。点眼忘れはアンケート直前の1週間に1回以上点眼を忘れた場合と定義した。
結果
解析対象は2,886名(68.2±12.1歳,男性1,363名,女性1,523名)。点眼忘れは導入前(27.6%)と比べ,導入1か月後(17.1%)と6か月後(20.6%)で有意な改善を認めた。6か月後の点眼忘れに有意に影響する因子は,導入後1か月時点の点眼忘れの有無,6か月時点の点眼負担感の有無,点眼可能回数であった(ロジスティクス解析)。配合剤導入後,緑内障知識に関する質問への正答率が上昇した。リーフレットの間に有意差はなかった。
結論
配合剤導入後,点眼忘れの改善を認め,緑内障知識の理解が深まった。リーフレットの内容による点眼忘れへの影響はなかった。
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