臨床報告
多発性骨髄腫による圧迫性視神経症の1例
野田 拓也
1
,
高木 優介
1,2
,
長谷川 愛
1
,
澤村 裕正
2
,
寺田 裕紀子
1
,
沼賀 二郎
1
1東京都健康長寿医療センター眼科(東京都板橋区)
2東京大学医学部眼科学教室
キーワード:
多発性骨髄腫
,
形質細胞腫
,
圧迫性視神経症
,
multiple myeloma
,
plasmacytoma
,
compressive optic neuropathy
Keyword:
多発性骨髄腫
,
形質細胞腫
,
圧迫性視神経症
,
multiple myeloma
,
plasmacytoma
,
compressive optic neuropathy
pp.199-203
発行日 2019年2月5日
Published Date 2019/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001053
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症例は64歳女性。腰痛,頭部表面の腫瘤を自覚し,右視力が低下したため,東京都健康長寿医療センター脳神経外科を受診した。 頭部CTにおいて頭蓋骨破裂を伴う複数の腫瘤像を,血液検査において血清蛋白増加,高カルシウム血症,貧血,腎障害を認め,多発性骨髄腫と診断された。眼科初診時の視力は右(0.02),左(1.2)で,右眼のRAPDが陽性であった。前眼部・中間透光体・眼底には異常所見を認めず,中心フリッカ値は右眼で有意に低下していた。頭部MRI検査を行ったところ前床突起を含む右視神経管付近に隆起性病変があり,T1強調で低信号,T2強調とFLAIRで高信号を示していた。視神経には信号変化がなく,形質細胞腫が視神経を圧排していると考えられた。化学療法開始後約2か月で右眼の視力は(1.2)まで改善し,中心フリッカ値の左右差はなくなり,視野も正常化した。CT,MRIでも視神経圧排所見は改善していた。多発性骨髄腫による眼合併症には,過粘稠度症候群に関連するもののみならず,形質細胞腫による視神経症などがあることも念頭に置き精査を行う必要があると考えられた。
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