症例報告
筋強直性ジストロフィ患者の外眼筋の臨床病理学的所見
粕谷 友香
1
,
牧野 伸二
1
,
佐野 直樹
2
,
河田 浩敏
2
,
野口 久美子
1
,
近藤 玲子
1
,
金井 美佳
1
,
丸田 治子
1
,
新井 可奈子
1
,
赤羽根 好乃
1
,
小林 未永子
1
,
川原 朋子
1
,
川島 秀俊
1
1自治医科大学眼科学講座
2自治医科大学病理学・病理診断部
キーワード:
筋強直性ジストロフィ
,
斜視
,
斜視手術
,
病理所見
Keyword:
筋強直性ジストロフィ
,
斜視
,
斜視手術
,
病理所見
pp.487-491
発行日 2024年5月5日
Published Date 2024/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003630
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筋強直性ジストロフィ患者の外斜視に対して斜視手術を行い,外眼筋の病理所見を検討する機会を得たので報告する。症例は筋強直性ジストロフィの44歳女性,外斜視の手術目的に紹介受診した。視力は両眼とも(1.2),眼圧は両眼とも8mmHgであった。前眼部,眼底に異常はなかった。交代プリズム遮閉試験で近見75Δ,遠見65Δの外斜視があり,輻湊は不能であった。局所麻酔下に左眼の外直筋後転術および内直筋短縮・前転術を行った。肉眼的に外直筋,内直筋ともに菲薄化はなかった。術後1か月の眼位は近見40Δ,遠見30Δの外斜視で,輻湊は可能となり,整容的な改善が得られた。手術時に切除した内直筋では病理組織学的に非特異的な筋萎縮性変化がみられ,既報と同様の所見であり,肉眼的な菲薄化がないにもかかわらず組織学的には萎縮は明瞭であった。筋強直性ジストロフィ患者の斜視手術に際しては,外見よりも筋の脆弱性が高い可能性を考慮して手術操作に注意する必要があると考えられた。
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