症例報告
眼底白点症を伴った副腎白質ジストロフィの1例
稲川 清香
1
,
松本 英樹
2
,
宮瀬 太志
1
,
望月 清文
1
,
下澤 伸行
2,3
,
坂口 裕和
1
1岐阜大学医学部附属病院眼科
2岐阜大学大学院医学系研究科 小児科学
3岐阜大学 科学研究基盤センター ゲノム研究分野
キーワード:
副腎白質ジストロフィ
,
眼底白点症
,
網膜電図
Keyword:
副腎白質ジストロフィ
,
眼底白点症
,
網膜電図
pp.493-498
発行日 2024年5月5日
Published Date 2024/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003631
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副腎白質ジストロフィ(ALD)は副腎不全と中枢神経系の脱髄を特徴とする遺伝性疾患で多彩な眼症状を呈する。今回我々は,眼底白点症を伴ったALDを経験したので報告する。症例は6歳男児。副腎不全で発症し,ALDと診断された。副腎皮質ホルモン補充開始後に両眼の視野異常の訴えがあり,当科を紹介された。両眼ともに矯正視力1.5,眼圧18mmHg,両眼底に散在する白点を認めた。視野検査では異常は認めなかった。7歳時に小児大脳型に移行し,造血幹細胞移植を実施された。8歳時,矯正視力は1.5で初診時と同様に引き続き眼底に白点を認めた。パネルD-15では異常を認めず,皮膚電極を用いた全視野刺激網膜電図では杆体系反応の消失を認めたが3時間暗順応後では杆体系反応の回復がみられた。夜盲の自覚はなかったが,以上より眼底白点症と診断した。ALDに偶発的にみられた眼底白点症と考えられ,今後の眼症状の出現に注意を要すると思われた。
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