私の経験
グリーンレーザーポインターによる網膜損傷の1例
牧野 伸二
1
,
吉田 淳子
1
,
福田 友美
1
,
礒飛 美帆
1
,
高尾 彩芽
1
,
竹澤 美貴子
1
,
清水 由花
1
1伊野田眼科クリニック(栃木県)
キーワード:
レーザーポインター
,
網膜損傷
,
光干渉断層計
Keyword:
レーザーポインター
,
網膜損傷
,
光干渉断層計
pp.405-411
発行日 2024年4月5日
Published Date 2024/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003593
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グリーンレーザーポインターによる網膜損傷を経験したので報告する。症例は15歳男子。友人が持ったレーザーポインターの光を自分から,右眼は複数回,数秒間,左眼は1回,数秒間凝視した。翌日,両眼の中心視野異常を自覚したため,当院を受診した。初診時視力は右1.2,左1.2であった。眼底は右眼の中心窩および中心窩近傍に不整な黄褐色病変がみられ,左眼は中心窩に限局した黄白色病変がみられた。右眼の光干渉断層計(OCT)では帯状の高反射病変があり,ellipsoid zone(EZ)およびinterdigitation zone(IZ)の断裂と網膜下液がみられた。左眼のOCTでも線状の高反射病変があり,EZおよびIZの断裂がみられた。両眼ともレーザーポインターによる網膜損傷と診断し,無治療で経過観察した。受傷1週後,右眼の中心視野異常は自覚するものの,左眼の自覚症状は改善した。視力は両眼とも1.2であった。両眼ともEZおよびIZの断裂範囲に変化はなかったが,右眼では帯状の病変が消褪し,網膜下液も消失した。左眼では線状の病変は一部残存していた。受傷3週後,右眼の自覚症状は改善したが,OCTではEZおよびIZの断裂は依然として観察された。受傷2か月後,自覚症状は消失し,EZおよびIZの断裂は改善した。容易に入手できるレーザーポインターの種類によっては,重篤な網膜損傷が生じる可能性があり,啓発が必要である。
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