私の経験
網膜有髄神経線維に近視性不同視弱視を伴った1例
髙尾 彩芽
1
,
牧野 伸二
1
,
吉田 淳子
1
,
福田 友美
1
,
茂呂 由紀
1
,
礒飛 美帆
1
1伊野田眼科クリニック(栃木県)
キーワード:
網膜有髄神経線維
,
強度近視
,
不同視弱視
Keyword:
網膜有髄神経線維
,
強度近視
,
不同視弱視
pp.273-276
発行日 2025年3月5日
Published Date 2025/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004091
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
網膜有髄神経線維に近視性不同視弱視を伴った症例を報告する。患者は3歳5か月の男児。3歳児健康診査で近視と不同視を指摘され受診した。視力は2.5m絵視標で,左眼は1.5であったが,右眼は測定不能,ドットカードによる近見視力は右眼0.2,左眼0.6であった。他覚的屈折検査値は右眼−7.25D,左眼+1.00Dであった。眼軸長は右眼24.10mm,左眼22.19mmであった。眼位は近見,遠見ともに正位であった。眼底は左眼に異常はなく,右眼は視神経乳頭から上耳側にかけて網膜有髄神経線維がみられたが,黄斑部に異常はなかった。調節麻痺下屈折検査を行い,右眼−7.00D,左眼±0.00Dの眼鏡を処方し,眼鏡の常用を指示した。眼鏡装用は良好で,装用開始1か月後の右眼視力は2.5m絵視標で(0.3)で,健眼遮閉を2時間から指示した。装用開始3か月後,健眼遮閉は30分程度しかできておらず,右眼視力は2.5m字ひとつ視標で(0.15)であったため,健眼遮閉の努力を指示した。その後は指示どおりの健眼遮閉が可能となり,装用開始6か月後の右眼視力は2.5m字ひとつ視標で(0.4),近見視力も(0.4)に改善した。装用開始1年後の現在,2.5mハンドルによる視力は(0.4)で,健眼遮閉を継続して経過観察中である。網膜有髄神経線維に伴った近視性不同視弱視は眼鏡装用,健眼遮閉が困難であることも多いが,黄斑部に異常がなく受診年齢が早期の症例では,屈折矯正と健眼遮閉の効果が期待できるものと考えられた。

Copyright © 2025, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.