私の経験
自然閉鎖がみられた美容用レーザーによる外傷性黄斑円孔の1例
大田 大喜
1
,
粕谷 友香
1
,
牧野 伸二
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
美容用レーザー
,
網膜損傷
,
光干渉断層計
Keyword:
美容用レーザー
,
網膜損傷
,
光干渉断層計
pp.361-367
発行日 2025年4月5日
Published Date 2025/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004120
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美容用レーザーによる網膜損傷を経験したので報告する。症例は36歳女性。美容用レーザーの練習中に,反射したレーザー光を見たあと,左眼の視力低下を自覚し,当院を受診した。初診時視力は右1.2,左0.9であった。眼底は左眼の中心窩に小さい円形の赤褐色病変があり,その周囲は白色調の混濁がみられた。光干渉断層計(OCT)では中心窩に網膜内層から連続する帯状の高反射病変があり,ellipsoid zone (EZ)およびinterdigitation zone(IZ)の断裂と網膜下液がみられた。左眼のレーザーによる網膜損傷と診断し,網膜浮腫がみられたことから,ステロイド内服で経過観察する方針を説明した。受傷7日後,視力は(0.6)と低下し,OCTでは中心窩に新たに裂隙が生じていた。受傷14日後,視力は(0.7),OCTでは中心窩の裂隙は全層黄斑円孔に進展していた。この時点で硝子体手術について説明を行ったが,その4日後(受傷18日),自覚症状は不変であったが,視力は1.2に改善し,全層黄斑円孔となった部位に網膜内層の架橋がみられ,閉鎖傾向にあることが観察された。受傷29日後,視力は1.2,自覚的に中心暗点が小さくなり,OCTでは網膜内層構造が改善し,外境界膜の連続性も確認できるようになった。初診時から受傷78日まで,EZおよびIZの断裂は持続してみられ,現在も経過観察中である。今回の症例は美容用レーザーの誤照射により,当初は網膜浮腫を含む網膜損傷がみられ,黄斑部の裂隙から外傷性黄斑円孔が生じ,自然閉鎖が観察されたまれな症例と考えられた。

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