私の経験
中年期に発症した急性後天共同性内斜視の1例
高尾 彩芽
1
,
牧野 伸二
1
,
吉田 淳子
1
,
福田 友美
1
,
礒飛 美帆
1
,
清水 由花
1
1伊野田眼科クリニック(栃木県)
キーワード:
急性後天共同性内斜視
,
デジタルデバイス
,
プリズム療法
,
発症年齢
Keyword:
急性後天共同性内斜視
,
デジタルデバイス
,
プリズム療法
,
発症年齢
pp.775-778
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003222
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中年期に発症した急性後天共同性内斜視を報告する。症例は51歳男性。1週間前からの複視を主訴に受診した。視力は両眼とも(1.2)であったが,装用している眼鏡は近視の低矯正であった。眼位は近見14Δ内斜視,遠見30Δ内斜視であった。問診で長時間のスマートフォン使用が聴取された。頭部MRIに異常はなく,まず,スマートフォンの使用時間を減らすように指導した。2週間後の斜視角は近見8Δ内斜視,遠見30Δ内斜視と軽度減少した。近視の低矯正があったため,適矯正眼鏡に両眼7Δずつ組み込みプリズムを処方し,瞳孔間距離を少なくすることで,膜プリズムの装着なしで眼位を矯正することができた。装用により複視の自覚はなくなり,患者の満足が得られた。融像幅は−12Δ~+20Δ,AC/A比は7Δ/D,両眼視機能はTitmus stereo testsにおいて60″であった。発症から4か月,斜視角の減少がみられ,プリズムなしで眼位は正位となり,複視は解消した。本症例の内斜視発症の要因として,長時間のスマートフォン使用,近視の低矯正などが考えられた。一般的に若年者に発症することの多い急性後天共同性内斜視が中高年でもみられることがあり,若年者に限らずデジタルデバイスの使用法には注意が必要であると思われた。
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