症例報告
非典型的な傾斜乳頭症候群に伴う網膜分離に対して硝子体手術を施行した1例
高橋 宏典
1
,
新井 悠介
1
,
坂本 晋一
1
,
牧野 伸二
1
,
川島 秀俊
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
視神経乳頭先天異常
,
傾斜乳頭症候群
,
乳頭周囲網膜分離
,
脈絡膜内空洞病変
,
光干渉断層計
Keyword:
視神経乳頭先天異常
,
傾斜乳頭症候群
,
乳頭周囲網膜分離
,
脈絡膜内空洞病変
,
光干渉断層計
pp.585-592
発行日 2024年6月5日
Published Date 2024/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003660
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上下が逆転した傾斜乳頭と考えられる視神経乳頭異常に,脈絡膜内の空洞病変(intrachoroidal cavitation:ICC),乳頭周囲網膜分離(peripapillary retinoschisis:PPRS),中心窩剥離を伴った症例を経験したので報告する。患者は66歳女性。左眼の視力低下を主訴に前医を受診し,視神経乳頭から中心窩にかけて網膜分離と中心窩剥離を認めたため,当科を紹介受診した。初診時左眼視力は(0.3)であった。左眼の視神経乳頭は横長で,上方に陥凹性病変がみられ,その周辺に黄橙色の色調変化があった。また,乳頭縁から耳側に走行する網膜動脈の拡張がみられた。光干渉断層計では乳頭上方の陥凹性病変の周辺にICCが観察され,同部位から連続する網膜分離を認め,中心窩剥離が観察された。非典型的な傾斜乳頭症候群にICC,PPRS,中心窩剥離を伴ったものと考え,硝子体手術を行った。人工的に後部硝子体剥離を作成し,内境界膜剥離は中心窩を回避して,中心窩と乳頭間のみ行った。術後,網膜分離と中心窩剥離は消退し,視力は(1.0)まで改善した。術前に乳頭縁にみられた拡張した網膜動脈は,術後にループ状に形態が変化した。硝子体手術による後部硝子体剥離の作成,内境界膜剥離によって所見が改善した可能性が考えられた。
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